巻頭言
 『時代は変わる。大学が変わる。
 洛友会も変わらねば。』
洛友会会報 207号


『時代は変わる。大学が変わる。洛友会も変わらねば。』

洛友会副会長
池上文夫(昭22年卒)

 新年おめでとうございます。洛友会員の皆様、今年もお元気でご活躍をお祈りします。今年は世界にとっても多事多難と覚悟が必要な年かと思われますが、恐らくは洛友会にとっても重要な年になりそうな気がします。

1.まえがき
 洛友会は発足以来、一学科の同窓会としては類希な存在として活動してきました。経済が右肩上がりの時代には全く考える必要無いことでしたが、時代と共に財政問題など問題点が見え、国立大学の独立行政法人化を契機に表面化しています。会員の皆様方に現状をご理解頂くために、問題点の概要をご説明致します。

2.最近の洛友会財政状況
 最近10数年間、本部の財政状況の概要を表に示します。会費収入が年々減少する傾向と、名簿広告の収入が特に最近減少する傾向が見られます。これらに伴い支部への補助金も減少しました。
 本部では印刷業者や名簿発送法の変更で支出を軽減、また木村常任幹事の支部補助金配分法(『木村方式』と呼ぶ)による支部への補助など合理化に努めました。支部補助金の減少は支部の活動を抑制することになり、支部も頭の痛い状況と思われます。

3.会費収入の減少
 これは会員の会費納付率の減少が原因です。50%以上だった平均納付率が最近は40.9%まで減少。卒業年次別の納付率(平成15年度)は中高年層では70%以上ですが、若い程低下し最近の卒業生は20%程度に低下しています。若い会員が同窓会に関心が低いのは古今東西に共通な傾向ですが、単に財政の問題のみならず同窓会の本質にも関係します。
 これは京大が大学院大学へ、また情報学部の設立や研究科の改変など組織の変更が続き、学生諸君の教室帰属意識が薄れたとの原因も考えられます。ともあれ、学生・卒業生の意識を時代の変化に適応させる努力が必要でしょう。
 東京支部は庶務幹事を新設、若い会員との意志疎通を図るなど、各支部でも動きがあります。

4.広告収入の減少
 これまで企業は卒業生の採用に期待して洛友会の名簿広告募集に積極的に応じて頂きました。そのお蔭で洛友会は立派な名簿の発行や各種の活動ができました。
 バブル後、企業も学生も大きく変化します。以前は学生の就職は殆ど教室主任教授の推薦でしたが、学生の自由応募が増え学生と企業がインターネットで直結する時代には広告の価値は下ります。商法の改正も影響しましたが、支部の多大な努力のお蔭で、広告収入の減少は抑制されていました。
 しかし、国立大学の独立行政法人化が追い討ちをかけます。

5.大学の独立行政法人化
 昨年4月独立法人となり予算は評価次第、つまり研究費は自分で稼げ、評価の高い大学には予算を多くという原則に変わりました。教室は桂キャンパス移転と法人化対応で多忙を極めています。法人化で、大学は研究成果を企業に売込み、企業は大学の新しい研究の芽を探し求めます。産学協同は名簿広告の意味を薄め、洛友会の財政を更に圧迫します。
 この環境では広告を担当する支部役員の負担が極めて過重で、名簿広告廃止の声もあります。一部で個人が企業名で醵金という胸の痛む歪も生じ、広告収入に強く依存する体質の改造も必要です。個人の醵金は別の問題を提起します。本来は寄付として感謝をもって顕彰すべきで、この形の収入も真剣に考える必要を感じます。
(洛友会会則第13条:本会は会費及び寄付をもって経理する)
一方、歴史的変革を前向きに受け、洛友会・教室・企業の新しい関係を模索する努力も必要です。

6.変化の中の洛友会
 この環境の中では財政の健全化が必須です。支出削減には名簿と会報の経費の合理化が、収入では会費納付率の向上と広告収入減少への対策が不可欠と考えます。
 問題の解決に基本的な課題は、洛友会に運営の新ルールを作る構造が不足な点です。幸い運営方法や実行計画を議論する組織として、本部常任幹事(木村磐根名誉教授)と関西・東京両支部長(会員の80%を占める支部代表)の会合が一昨年から活動しています。この種の会合を正式の会議と認めて、改革促進を図ることを提案します。
 また洛友会の実体である支部が必要な施策を自由に実行できることが必要です。洛友会には支部の自主性を掣肘する思想は無いと理解しますので、地方自主の思想を再確認すれば、支部は遠慮せずに更に動き易くなるでしょう。
(洛友会会則第17条:(略)各支部の会則は本会則に準じて支部において作成する。)

7.名簿の問題点
 この問題は重要で同時に面倒な問題です。名簿経費の削減には、発行回数や単価などを減らす方法と電子化する方法があります。
 電子化名簿の利点は、経費削減以外に印刷名簿の廃棄に伴う環境問題や個人情報の漏洩問題が無い点ですが、3つの問題があります。
(1)インターネット特有のセキュリティ問題。技術的検討が必要。
(2)電子化に対応できない会員へのサービス。東京支部の一部のアンケートでは中高年層の1/3が印刷名簿を希望しています。
(3)電子化名簿での広告方法。活動の継続には広告収入が必要で、会員と広告主双方が満足する電子的広告法を探すのが必要です。
 当面は印刷名簿の経費削減を図りつつ、問題点の綜合的解決法を究明するのがよいのでしょう。

8.あとがき
 激動の時代、洛友会も変わらねばなりません。今後改革の実行段階に入り、順次着実に具体化されると期待します。会員皆様方のお知恵も拝借して、洛友会の更なる発展の基礎固めにアドバイスとご協力をお願い申し上げます。
          

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