会員寄稿(1)
洛友会会報 214号


四国アイランドリーグについて

宮谷 茂(平成10年卒)

 四国以外の方、特に野球にあまり関心のない方には馴染みが薄いかもしれないが、四国の名物のひとつとして、四国アイランドリーグが最近存在感を増している。四国アイランドリーグは現行のプロ野球とは全くの別組織であり、四国各県から1チーム(計4チーム)が参加し、年間90試合を行う野球の独立リーグであり、2005年より運営が開始され今年で無事2年目を迎えている。
 しかし、2004年9月、元オリックスブルーウェーブ監督である石毛宏典氏により、四国アイランドリーグの設立構想が発表された時、私は半信半疑、いや8割方構想の実現を疑っていた。
 「プロ野球を目指す若者のために、野球を続けるための場を提供する」という理念は、社会人野球の規模縮小で若い野球選手の受け皿がなくなりつつある状況も手伝い、多くの野球愛好家に好意的に受け取られた。野球愛好家の一人であり、アメリカのメジャーリーグやサッカーのJリーグの地域密着経営の成功を指をくわえて眺めていた私にとってもこのアイデアに反対する理由はなにひとつなかった。
 しかし、客観的に見ると実現へのハードルは非常に高かったといえる。構想では2005年4月からリーグ運営を開始するとのことであったが、問題点は山積みであった。構想発表時点で、スポンサーは皆無、四国4県の自治体の協力も得られていない、選手もいないのないない尽くしであり、たったの7ヶ月の準備期間でこれらの問題を解決し、四国アイランドリーグが予定通り立ち上げられると感じた人間はごく少数であったと思われる。
 しかし、否定的な材料には事欠かない状況ではあったが、これらの問題は何とかクリアされ、現実にリーグは運営されている。私は無責任な第三者であるが、多くの関係者が東奔西走したのは想像に難くない。実際に試合を観戦に行くと、決してレベルは高くない(地方の大学野球レベル)ものの、将来の飛躍を夢見て選手は全力でプレーし、地元の観客が選手の1つ1つのプレーに歓声を上げる光景を見ることができる。このような環境を実現してくれた関係者の方々には野球好きの一人としてただただ感謝の一言である。
 四国アイランドリーグは、2005年度は約3億円の赤字となり、今年も観客動員では苦戦が伝えられている。しかし、昨年はプロ野球に2名の新人を送り出し、プロ野球を目指す若者に、四国アイランドリーグがプロ野球への道となりうることを示した。また、今年は、西武ライオンズの松坂投手の弟や、ジンバブエ出身の野球選手も入団し、プロ野球とは一味違った魅力を伝えるべく様々な試みを行っている。
プロ野球、社会人野球や大学野球と比較すると、四国アイランドリーグは組織が非常に脆弱であるが、選手や石毛代表を中心とした関係者はそのような状況の中でも前向きに日々努力を積み重ねている。私は幾許かのお金を払って試合を観戦するぐらいしか四国アイランドリーグには貢献できていないが、彼らから多くの刺激を受け、これまでより日々を前向きな気持ちで過ごすことができている。
数々の困難はあろうかと思うが、四国アイランドリーグには、今後もリーグを継続し、若い野球選手に夢を与える存在であってほしい。そして野球を通じて私達に刺激を与える存在であってほしい。また、野球に関心の薄い方には、野球は人々を前向きな気持ちにさせることができることを知り、機会があればそれに関わる人々を応援してほしい。決して私が週末にソフトボールの練習に行く(私は会社のソフトボール部に所属)のに冷たい視線を浴びせる妻への言い訳ではないのだけれども…。



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