30歳になって想うこと
洛友会会報 202号


30歳になって想うこと

村井隆之(平8年卒)
 
 いつもは気にしないのに、最近なぜか意識することがあります。それは30歳という区切りを迎えたこと。
 日頃の生活も、私の見栄えなども特に何か変わったわけではないけど、30歳になって思うことは、私にとって、ある意味大きな区切りにあるということでしょうか。
 私はきゃしゃな体つきですが、何気に体力には自信がありました。夜更かしも大丈夫だし、限界を超えて飲んでもすぐに元に戻る。体を動かすのが大好きで、夏は当然、自転車で一人放浪旅。少々無茶をしても一晩寝れば、元通りに回復。入社6年目の私がいまだに覚えていることは、入社して間もない頃に上司から言われた「若いころは寝る時間を惜しんででも、いろんなことに興味を持つこと」という言葉。確かにその通りだと思ったし、それを実践してきました。ようは、体力任せに暮らしてきても、大丈夫だったということ。
 ところが最近は、飲んだあとは一人電車の中でふらふら。乗り過ごしして、引き返す電車がない状態の日が3日間続いたこともありました。次の日は目を開けたまま寝ている、いわば「魚」状態になっていることは言うまでもありません。2年前から始めたゴルフの翌々日に筋肉痛になることもあり、これは日頃の運動不足だけでは説明できないような気になっています。鏡を見た自分の顔が少しやつれ気味と思うこともしばしば。体力的に、あれ?と思う瞬間です。
 最近、良く実感することは、一人になることが増えたなということでしょうか。それまでの私は、週の半分以上は飲み会(異業種交流会を含む)で、次の日を省みずたくさん飲んで、次の日に後悔することは分かっていながら、最悪その場だけでも楽しければそれで満足だったように思います。
 「男性は30歳からが魅力的」いう声をよく聞きますが、周りはどんどん落ち着いてしまって、自分だけが浮き足立っているような気になっています。大学時代に仲のよい友人6人と、将来の落ち着く順番を予想したことがあります。私は3番目に落ち着く予想で、私的にもそれが妥当かと思っていましたが、結果最後になってしまいました。気分的に、あれ?と思う瞬間です。
 以前、深夜帰宅して、一人寡黙に晩飯を食べている時に、父親が起きてきて、「心配かけるな・・・」から始まって延々と説教をされました。そこで言われたのは、「親は暇だからゴルフに連れて行け、たまには相手しろ」。家に帰っても、現役を退いた父親と顔を合わすことは数少なく、土日も私が出かけてしまうので、ほとんどいないことを問い正されて言われたものです。昔、遊びに連れて行けとは私から親には言ったけど、逆にそれを言われている。ある意味、周囲の状況変化に、あれ?と思う瞬間。
 こうした変化について、なぜだろうかと自分なり考え、出てきた結論。
 「体力的にも気分的にも、そして周囲の状況もどんどん変化している。私はそれに気づいていないのではないか? 猪突猛進に周りに目もくれず過ごしてきてきたけど、これからはスタイルを見直すべきかな?」。
 30歳になったからといって、そのちょうど境で何かが劇的に変わるはずもなく、特に根拠はないのですが、一つの私の区切りとして、前後を見渡したとき、そこに大きな線引きがあるのではないか、と実感しています。
 社会はいろんな意味で変革の過渡期にあります。でも、私も同じ時期にあるのかなと思います。個々は一つ、線を引いてこの区切りをきっかけに、新しい自分のあり方を探して生きたいと思っています。でも老け込むつもりは全然ありません。とりあえずは、40歳までは・・・といったところでしょうか。

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