巻頭言 
 九州における電気事業の
 あゆみと洛友会九州支部
洛友会会報 206号

 

九州における電気事業のあゆみと洛友会九州支部

九州支部長 岡 範彦(昭35年卒)

 九州で初めて電気の灯りが点灯したのは長崎市で、明治19年長崎紡績所で照明用アーク灯を使ったといわれているが、九州初の電灯会社は、熊本電灯で、明治24年(1891年)開業した。これは、日本で初めて工部大学校でアーク灯が点灯した明治11年(1878年)3月25日から13年後、そして東京電灯が明治20年開業から4年後のことである。又、エジソンがニューヨークで電灯事業をはじめた10年後である。
 熊本電灯は、全国で11番目の電灯会社で、設備は直流発電機125V20KW2台で供給を開始した。九州2番目は長崎電灯で、明治26年開業、1000V30KW交流発電機で、供給を開始した。次いで博多電灯が、明治30年開業、設備は国産初の交流発電機、田中製造所(現東芝)製で60KW2台であったが、明治33年にはWH社製120KW機を設置した。明治31年鹿児島電気開業、ペルトン水車でGE社製100KW交流発電機で、配電々圧3500Vは我国の高圧配電の始まりとされている。北九州地区では、若松電灯が明治31年、小倉電灯が明治33年に開業している。
 その後、需要に応じて発電設備容量を増大させるとともに、各地に設立された電灯会社を統合していった。
 主要電灯会社についてその経緯をみると、熊本電灯は明治42年に熊本電気となり、博多電灯は明治44年、福沢桃介、松永安左エ門等により設立された福博電気軌道と合併して博多電灯鉄道となり更に翌年九州電気と合併して九州電灯鉄道となった。設備は、火力1620KW水力1700KWであった。
大正11年に名古屋電灯と合併して東邦電力となり、全国規模の電力会社となった。社長伊丹彌太郎、副社長松永安左エ門であった。
 小倉電灯は、明治42年九州電気軌道等と合併し、電気事業と運輸事業を拡大していった。大分地区では、明治35年豊州電気鉄道が別府大分間で電鉄営業を開始した。これは九州初、全国で5番目の電鉄である。明治44年九州水力電気が設立され、前記会社や若松電灯等を合併し福岡地区へ事業拡大していった。
 鹿児島地区では、大正7年設立した日本水電が、川内川電気や南九州水力電気を合併して南九州地区に事業拡大していった。
 これまでの発電設備は、明治24年熊本電灯の20KW直流発電機から単相交流発電機、明治27年三相交流発電機が採用され、以降三相交流発電機となった。出力は明治末には、1000KW機2000KW機、大正中期には10000KW機が出現している。
 又、周波数は明治30年頃までは100Hz125Hz、明治31年に鹿児島電気が60Hz、以降60Hz50Hzで、九州東半分が50Hz、西半分が60Hzで設備拡大していった。その後、昭和24年から35年にかけて60Hzに統一された。
 昭和14年には電力国家管理の時代となり、日本発送電が設立され、全国の主要な火力発電所、水力発電所、送電線、変電所が統合された。統合された電力会社は全国33社に及んだ。九州地区は日本発送電九州支店となった。
 次いで配電統制が進められ、昭和17年4月九州配電が設立され、90%の供給を行っていた九州水力電気、九州電気(旧熊本電気)、東邦電力、日本水電の4社が統合された。残り47事業所が昭和18年2月までに統合されて九州全域に供給することになった。
 戦後、政府は電気事業再編成令及び公益事業令により、公益事業委員会を設置し電力事業再編成を実施した。委員長松本亟治、委員長代理松永安左エ門であった。ここに日本発送電及び9配電会社は解散し、全国9地区に新会社が誕生した。九州地区は昭和26年5月1日九州電力株式会社が創立され、発電、送電、配電を一貫経営する民有民営の公益事業が発足した。
 近年電力自由化が始まり、平成12年4月から2000KW以上平成16年4月から500KW以上平成17年4月からは50KW以上の需要家は電力供給者を自由に選べる競争の時代となった。
洛友会九州支部は、昭和28年10月26日に設立された。これは同年2月鳥養会長がロータリーのガバナーとして福岡に来られた時に、福岡在住の同窓生との昼食会が催され、会長から支部設立の要請があり、本部より一年遅れの発足となった。
 九州支部の初代支部長は、明治、43年卒福井正治氏で、京大電気工学教室第10期卒業生である。明治43年はようやく九州各地で電気事業が始まった時代であり、九州の電気事業の黎明期から先輩方が活躍されたことになる。支部設立時の会員は80数名とあり、京大電気工学科創立以来、洛友会九州支部設立までの40余年間には、毎年2名程度の卒業生が九州で活躍されていたことになる。
 支部会員数はその後漸増して、現在は110名程度であるが、教室の卒業生数が多くなったことを考えると九州支部会員が少ないようである。もっと九州に来てもらいたいものである。支部会員は、電力、大学、電気・機械メーカー等多方面にわたり、所在地は福岡地区6割でその他九州全県に広がっている。このことが、支部の行事も福岡で実施することになり、遠方からの参加を難しくしている。
 支部行事は年1回の支部総会と年3回の昼食会または夕食会である。支部総会は例年5月の金曜日に近藤会長のご都合や他支部総会日等を勘案して決め福岡で実施。
参加者30名前後である。昼食会は昭和60年頃からで、初めは不定期であったが、平成2年からは定例化し、8月、11月、2月の第4水曜日を基本としていたが、若い会員も出席し易い様に、8月は土曜日昼食会、11月は夕食会としたりしている。参加者は20名前後である。
 今後は、現在の行事を継続するとともに、何か、楽しく、現役会員も参加しやすいものを、会員皆様と相談したいと思っている。
 

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