巻頭言
洛友会会報 213号


東京支部の改革進捗状況

東京支部支部長 
古濱 洋治(昭和38年卒)

(1)はしがき
 最近の洛友会は、全体としても、東京支部としても大きな課題を抱えています。その発端は、平成17年4月に施行された個人情報保護法との関係で、洛友会名簿をこれまで通りに発行できるかどうかの課題が浮上したことです。この問題は、洛友会の財政に深刻な影響を与え、さらに、洛友会活動そのものをどのように維持・発展させて行くかという本質的な問題に発展してきています。本稿では、東京支部における最近の支部活動の課題とこれまでの対応を、関連する本部の動きと共にご紹介します。


(2)会員名簿の発行
 洛友会は、平成17年度に名簿の発行を控え、近年の会費納入率の著しい減少と広告収入への依存の困難さの増大に加えて、個人情報保護法等への対処のため、本部に「洛友会改革WG」を設置して検討を開始し、その結果会員名簿の発行を一年延期して平成18年度に発行すると共に広告収入依存からの脱却を決めました。本部会費で名簿の発行・配布を行うため、従来2年毎に発行していた名簿の発行間隔が3〜4年に一度になる公算が大です。

(3)財政問題
 これまで東京支部の収入は、会費と広告収入の2本建てでした。近年、洛友会の会費納入率が減少し4割を割り、このまま推移すると近い内に3割を割るという危機的状況にあります。また、広告収入に依存することが出来なくなりましたので、会費納入率の減少に歯止めを掛け支部活動を会費のみで運営できる体質にすることが急務となりました。東京支部では受益者負担を原則に諸支出の削減を行い、取り敢えず平成17年度は支部会費のみで運営することが出来ました。
 会費納入の促進については、平成17年秋の支部講演会の時、会費納入率の向上について訴えると共に、本部と連携して会場で会費の徴収を代行しました。これにより支部の会費納入率の低下に歯止めを掛けることが出来ました。

(4)年次別支部会員
 秋の支部講演会は、会員の親睦、特に若手会員の親睦を目的として、長尾真会長に講師をお願いして開催し、127名の参加が有り大変好評でした。また、支部会員に講演会の案内状を送付する段階で次のようなことが明らかになりました。
 図は、現在東京支部が把握している「アクセス可能な支部会員」数を示し、平成15年度発行の洛友会名簿の情報を基礎にその後の変更を加えたもので、総数1,750名です。この「アクセス可能な支部会員」数は、昭和48年卒の60名をピークに以後年々減少しています。これらは転勤や転職に伴って、洛友会本部及び東京支部が住所を把握できなくなった支部会員や関東地域に居住しながら東京支部が把握していない会員(これらを仮に「未把握支部会員」とする)が多数存在することを意味しています。データが些か古く誤差の大きいものですが、洛友会会報(第208号)における馬場前支部長の試算によりますと支部会員数は約2,100名ですから、
「未把握支部会員」(約350名)=「支部会員」 (約2,100名)−「アクセス可能な支部会員」(1,750名)
です。
 会費納入率について大雑把に言えば、平成17年度は「アクセス可能な支部会員」の内43% が会費を納入し、これは「支部会員」の36% に対応しています。これより会費納入率の向上には、「払い忘れを少なくする方法」を編み出して着実に実施すると共に、「未把握支部会員」を少なくすることが重要であることが分かります。「払い忘れを少なくする方法」の一環として、従来4枚綴りであった会費振込みの郵便振替用紙がコンビニでも支払い可能な2枚綴りの振込み用紙に変更されましたので、払い易くなります。また、今年中に洛友会名簿が改訂・発行されますので、「未把握支部会員」が大幅に減ると考えられます。会員からの連絡が途絶えないように連絡網を絶えず更新して、アクセス不良に陥らないようにすることが、今後の支部活動において肝要です。


(5)若年会員の参加意識の向上と支部活動のあり方
 何故、若手なのか。東京支部では、支部長の卒業年次より若い会員を「若手会員」と呼んでいます。今年度は昭和40年卒以降の会員が「若手会員」に対応しています。これより先輩の昭和30年代半ば卒以上の年代では、支部の会員数も会費納入状況も取り立てて問題にすることはないと考えています。しかし、近年の会費納入率の著しい低下、「アクセス可能な支部会員」の減少に見られるように、「若手会員」の洛友会離れは際立っており、このままにしておくと洛友会は求心力を失い崩壊せざるを得ない状況にあります。とは言うものの、会員の洛友会の求心力が増すような即効性の特効薬のようなものは思いつきません。遅効性ではあるが、長続きするような処方箋を見つけることが出来れば良いと考えています。
 一般に、働き盛りの時は仕事で忙しく、支部活動に注意を向ける暇はなく、その必要性を殆ど感じないのではないでしょうか。第一線から退く年代になりますと、支部の活動に参加してみようという気になる時があるかも知れません。その場合、支部との連絡が途切れているとそれも難しくなります。従って、支部との連絡が途切れてしまわないような方策が、本部、支部、会員に求められます。
 その第一は、学生時代から卒業するまでの間に、どれだけ洛友会のことを聞き・経験したかということが、その後の支部活動への参加の鍵となることです。卒業年次によって、洛友会への思いに大きな差があります。個人差はあるものの、卒業までに様々な体験を通して洛友会の会員の自覚を持って支部会員となった年次と全然そのような機会なくして支部会員となった年次(若手に多い)とでは、洛友会への帰属意識に大きな差があります。「洛友会改革WG」においても、会員になる前の学部学生に体験を通して洛友会を理解して貰う事の重要性が指摘され、この一環として教室における懇話会の洛友会との共催や学生会員制の導入についての検討が始まっています。
 第二は支部活動の留意点です。東京支部では、講演会、見学会、拡大クラス会、趣味の会など様々な支部活動を通じて会員の親睦を図っています。また、支部ホームページを開設し支部活動が会員に良く見えるように心掛けています。特に、若手会員層の活性化の一環として、学年幹事連絡網を整備し、秋の講演会の開催や若手学年幹事との意識合わせのためブレインストーミングを試みています。少数の若手年次を除くと、殆どの年次で5年毎ぐらいに同窓会を開催しており、この年次毎の同窓会幹事あるいは学年幹事を通じて支部との連絡の強化を図っています。また、現在では少なくなりましたが、企業内洛友会の続いているところがあり、この会合の幹事とのチャンネルも引き続き活用しています。次に、検討を始めたばかりですが、若手会員が所属した研究室の縦の繋がりは卒業後も続いていることが多く、研究室毎の集まりの幹事との連携も支部連絡網の整備に有効ではないかと考えています。

(6)おわりに
 「洛友会改革WG」の大きな成果として、洛友会本部事務局の桂キャンパスへの移転と事務局長に教官の任命と事務局員の配置、及び吉田キャンパスにおける本部事務局分室の設置と会員情報の管理の実施があります。教室と本部事務局の有機的に結合により、洛友会活動の活性化と、会員情報の維持・更新の円滑な推進が期待されます。洛友会に新しい時代が来ると思われます。
 若手会員に洛友会への求心力が働くようなインセンティブを与えることが出来れば良いのですが、そのような処方箋を書くことは容易ではありません。しかし、皆無ではありません。独立大学法人化した大学が、私立大学に見られるようにOB会の運用を積極的に考えるならば、新しいミッションが生まれましょう。しかし、この検討には時間が掛かりそうです。
 秋の支部講演会の質疑応答では、久し振りに熱気を感じ、会員の熱い思いの一端に触れました。支部の改革と活性化は端緒についたばかりです。先輩諸兄の努力で培われた支部活動を絶やすことなく発展させたいと思いますので、引き続きご支援・ご鞭撻をお願いします。

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