会員寄稿(3)
洛友会会報 214号


40歳からのランニング

大矢智之(昭和62年卒)

 思い立ってランニングを始めてみることにしました。学生時代も含めて、これまで運動には全く縁がなかったのですが、卒業後20年近く、体重はじわじわ増加する一方で毎年の健康診断もボロボロ、メタボリック症候群などという言葉も気になってきます。そろそろ健康にも気を遣わねばと、ダイエット目的で走ることにしました。
 根っからの理系人間なので、まずは計算です。ビール中ジョッキは約200 kcal、ジョギングの消費カロリーはおおよそ8 kcal/分なので、25分走らなければなりません。体脂肪は7,200kcal/kgに相当するので、フルマラソン3回くらい走ると1kg体重が減少する計算です。しかも日頃の運動不足がたたって、最初は10分も走ると息が切れてしまいます。これはなかなか手強い挑戦になりそうです。
 調べてみると、速いランニングか遅いランニングかによらず、総消費カロリーは走った距離にほぼ依存するようです。しかも遅いランニングだと、グリコーゲンより脂肪を消費割合が多くなり効率的とか。低い負荷で長時間走るためには、心拍数を監視して運動するのがよいようで、早速ランニング用の心拍計を購入です。腕時計に目標心拍数を設定しておくと、ペースの上げ下げをアラームで警告してくれる優れもので、楽に距離が伸びるようになりました。
 しかし、カロリー消費だけをいくらがんばっても限界がありますので、ダイエット目的だと、摂取の方も工夫しなくてはなりません。幸いなことに、ランニングしている最中は空腹を感じませんし、走り終わってもしばらくは食欲がわきません。さらに、ものの本によると、空腹時には膵臓からグルカゴンが分泌され脂肪の溶出が活発になるとあります。これは、腹が減ったら走るしかない、という訳です。朝食前のランニングがいいというのも道理です。
 ランニングがある程度習慣化してくると、道具にも凝りたくなってきます。有史以前から人間は走っているわけで、安上がりなスポーツだと思っていましたが、用品店に行くと最新モデルと称するものがたくさん並んでいます。ランニング雑誌で勉強すると、どうやら、走り方も日々進化しているようです。フラット走法などが流行で、それに適したシューズが開発されているようです。そういえば、マラソンの世界記録も毎年のように更新されています、急に人間が進化するはずもないので、ランニングでもやはり道具が重要なようです。
 ランニングを続けて数ヶ月くらいすると、徐々にではありますが、結構長時間走り続けることができるようになってきます。そうなると、いつもの周回コースを走っているだけでは物足りなくなって、週末などに遠出をしたくなってきます。普段、電車や車でしか行かないところまで自分の足で行くことができるのは楽しいものです。距離がわかっているコースだと、ペースを確認しながら走ることができるのですが、知らない道だとそうはいきません。最近はランニング用に腕時計タイプのGPS受信機も販売されているので活用してみました。小型でもかなり高精度で、条件にもよりますが、数m程度の誤差で計測でき、ランニングのペース管理としては申し分ありません。一般道を走ると信号待ちなどペースを乱される要因も多いのですが、立ち止まった時間は自動的に差し引いて表示してくれ、至れり尽くせりです。Internet上には、走った軌跡をGoogle Earth上に表示させるようなツールもたくさんあり、こんなところにも最新のITの波が押し寄せているものだと実感します。
 ランニングを始めて、かれこれ、一年が経過しました。季節に合わせたウェアや、小物など、結構物入りな趣味だというのが分かって驚きですが、約20kgのダイエットにも成功し、10km程度のマラソン大会に何度か出場するまでになりました。走った後のビールは最高ですし、カロリーを気にするようになってからは特に、心おきなく飲むために走るというのがすっかり習慣になりました。昨年度、日本国内で開催されたフルマラソン(42.195km)を一度でも完走したことのある人の数は82,930人で、一昨年に比べて5%の増加だったそうです(のべ人数ではなく、重複をすべて除いた純粋なフルマラソン人口です)。フルマラソンまでは無理という人がほとんどだと思いますので、相当な人がランニングを楽しんでいると思います。しかもフルマラソン人口分布のピークは30歳〜40歳で、70歳を超えて完走する人も500人以上います。まだまだ初心者ですが、これから長く楽しんでいこうと思っています。


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