教室だより(1)
洛友会会報 219号


電気系教室懇話会報告

 平成19年度の電気系懇話会が10月26日(金)に吉田キャンパスにて開催されました。学部教育や情報学研究科に属する研究室が吉田キャンパスにあり、研究室配属前の学部学生にも広く講演会を聴講してもらいたいという考えから、昨年に続き吉田キャンパスでの開催となりました。また、昨年に引き続き洛友会との共催という形をとっていますが、これまでのように企業単位で卒業生に連絡する縦のつながりに加えて、昨年からは横のつながりとして、洛友会年度代表者にも各学年の卒業生への連絡を電子メールにてお願いしております。また今年は、洛友会名簿が更新され電子メールアドレスが会員情報として登録されたため、電子メールアドレス登録者には直接案内を差し上げることになりました。当日はあいにくの雨模様でしたが、昨年より多い170名以上もの卒業生・教職員・院生・学部生にご参加いただきました。

 第一部の講演会は電気総合館大講義室で行われ、電気工学専攻長の引原隆士教授が司会を務められました。ご講演に先立って、電気電子工学科学科長の佐藤亨教授からご挨拶がありました。
 最初のご講演は、上田v亮先生(京都大学名誉教授、 早稲田大学 理工学術院 客員研究員、(独)理化学研究所 客員主管研究員)による「カオス生誕当時の京大電気系教室の回想と後輩への期待」でした。講演会に参加している若い学生のために、ご略歴を古き良き時代の思いでとともに、ご紹介されました。また、カオス誕生の経緯をご説明されるため、非線形微分方程式において、パラメータの微妙な変化で生じる現象についてコンピュータを用いて示されました。同期現象を、当時アナログコンピュータを用いて地道に記録していった結果が、決定論的システムに生じるカオスの発見につながったことを当時の研究室の状況を交えながら、ご説明いただきました。後輩への期待として、教員には基礎研究の重要性を強調され、外部資金獲得にあくせくしている私等には非常に身につまされる思いをしました。若い教員や学生には、信じる道を貫くには面従腹背もやむを得ないとアドバイスされました。さらに、京都大学電気系の学生は優れた資質を有しているが、日々の精進を忘れてはいけない。ネットで検索するよりも、自分で考えることを大切にしなさいと締めくくられました。

 2番目のご講演は、千本倖生氏(イー・モバイル株式会社 代表取締役会長兼CEO)による「モバイルビジネスの将来とベンチャー起業」でした。最初にご自身の大学時代を振り返られるとともに、米国へ留学された経験から京都大学の学生が、外国の大学生に劣りもせず、また勝ってもいない事を話されました。また、そうでありながら外へ出てゆこうとしない事や、持てるヒューマンリソースのポテンシャルを引き出していない大学に対する厳しいお言葉がありました。つづいて、電電公社部長であった1980年代当時、市外電話料金の高さに疑問をいだき、パートナーとして京セラ稲盛会長を得、電電公社をひと悶着ありながらも退社、第二電電設立に至り電話料金値下げを実現し、さらにイー・アクセス設立で、正当な競争市場の中で日本のADSLを世界で最安にまでする事ができた事を紹介されました。そして現在は、同輩の方々が隠居生活に入っている年齢で、イー・モバイルを設立し、単なる携帯電話ではなく、モバイルブロードバンドとしてビジネスを展開されている事を生き生きと語っていただきました。最後に、ベンチャービジネス起業に対する姿勢で話しを締めくくられました。このメッセージは、学生さんにとっても大きな刺激になったようです。

 第二部懇親会は、午後6時00分より生協吉田食堂において開催されました。司会は電気電子工学科学科長の佐藤亨教授が務められました。懇親会の冒頭、坂井利之名誉教授にご挨拶を頂いた後乾杯の音頭をとっていただき、その後は講師の先生方、名誉教授の先生方、卒業生、教職員、院生・学部生が懇親を深めました。懇親会の最後は、電気電子工学科学科長の佐藤亨教授の中締めで締めくくり、午後7時30分にお開きとなりました。
 最後になりましたが、ご講演を快くお引き受けいただいた講師の先生方をはじめ、遠方よりご参加いただきました卒業生の皆様、ご参加くださった教職員、院生・学部生の皆様に厚く御礼申し上げます。また、共催となりました洛友会には、名誉教授の先生・卒業生へのご連絡等多大なサポートをいただきました。これからも卒業生、教職員、院生・学部生の交流の機会として懇話会を利用していただければ幸いです。

  舟木 剛(推薦) 記


 

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