教室だより(1)
洛友会会報 220号


平成19年度卒業生の進学就職状況について(報告)

電気工学専攻長      引原隆士
電子工学専攻長      木本恒暢
通信情報システム専攻長 小野寺秀俊
電気電子工学科長     佐藤 亨

  平成19年度の電気系教室卒業生の進学就職状況についてご報告致します。平成19年度の進学就職状況を纏めたものを表に示します。以下、学生の進学および就職の傾向などについて、入試の状況や大学院の改革なども含めて、修士課程学生、学部学生の順に簡単に説明致します。ただし、大学院については個人情報保護の問題もあり、専攻長が対応できる3専攻分に限っております。
 電気系教室への企業からの求人依頼は、産業界の好況も反映して昨年度に引き続き本年度も増加の傾向にあり、電気関係以外の企業からの求人も増えています。これは、洛友会の諸先輩方のご活躍により、電気電子技術が広く社会全般を支えるインフラとして定着し、さらに分野を越えて幅広い応用が着実に進んでいることによると考えられます。年々、企業からの求人時期が繰り上がり、3〜4月にはかなりの企業での採用活動(面接など)が本格化しています。
 平成19年度の就職指導の方法は、ほぼ例年と同様に行われました。電気・電子工学専攻では従来通り、学生に対しても企業に対しても学校推薦と自由応募の何れか一方を選択してもらう方式で進めました。1月末に学生への最初の就職説明会を開催し、その後3回の進路アンケートの後に4月下旬に全学生に対して面接を行い、就職希望先を絞った後に学校推薦を行いました。企業によっては学校推薦と自由応募の両方で採用を行っておられたり、学校推薦前にジョブマッチングのプロセスで採用を内定される場合があり、推薦調整の際に若干の混乱が発生したことはやや残念でした。最終的には、約70%の学生が学校推薦により就職を決定しました。
 本年度の就職先としては、当初、自動車関連企業と一部の関西の電気系企業に人気が集中しましたが、ガイダンスと個別面談を経て、最終的には推薦枠に納まり、全般的にみると例年通り電気関係、通信関係、電力関係、機械・自動車関係など各方面に分散する結果となりました。本年度の特徴としては、電気関連企業への就職者がやや減少し、自動車関連企業、シンクタンクおよび商社が増えています。情報学研究科では、一部企業への集中もなく、昨年度と同様に通信関係と電機関係を中心とした各社に分散する結果となりました。情報学研究科通信情報システム専攻に所属する電気系研究室からは、修士修了生の就職者20名中の6名が通信・情報関係企業への就職、12名が電気関係メーカーへの就職、4名が進学となりました。
 博士課程に進学する学生の数は依然として少ないのが現状です。その理由の一つとして、日本の電気関係の企業では博士課程を修了した学生に対する人事的評価があまり高くなく、学生には博士課程に進学してさらにキャリアアップしたいという意欲が湧きにくいことが挙げられます。また、博士課程学生に対する経済的支援も課題の一つです。一方、先端技術の事業化を進めている企業の方々からは、今後の日本の電気、電子、通信分野をリードする人材として、博士課程修了者を積極的に採用するという嬉しいお話も伺うことができました。我々大学関係者としても、研究者、技術者として自立し、広い視野と国際性を備え、新たな先端分野を開拓牽引することのできる人材を育成することが重要と認識しており、大学院の教育の幅を広げた実質化を目指しています。そのために工学研究科では、平成19年度から複数教員指導制度を導入し、「主指導教員」に加えて、博士課程進学時から2〜3名の「副指導教員」を指定し、専門分野での高い知識・能力に加え、境界領域に対して広い視野をもった人材育成を行う指導を開始いたしました。また、高い専門能力と幅広い基盤を併せ持つPhDの育成を目指して、平成20年度入学の修士課程学生から「博士課程前後期融合教育プログラム(5年コース)」を導入いたします。これは、成績優秀で博士課程進学に高い意欲を有する学生を対象とし、4回生の研究室配属直後から博士取得を目指した長期的視野で研究に着手させものです。平成19年度に初めて本コースの入試を行い、16名の合格者を得ることができました。これに併せて大学院のカリキュラムも改訂され、自由度が増しています。数年後に、高い柔軟性と新分野開拓力を有する博士課程修了者を社会に送り出すことが、大学関係者の使命と考えております。
 次に、学部学生の進学就職状況について説明致します。大学院修士課程には、昨年同様、約86%の学生が進学することになりました。学部学生の就職先企業に関しては、人数は少ないものの修士課程学生とほぼ同様の傾向が見られますが、大学院修了者に比べると大企業集中の傾向は低いようです。
 電気系教室では、電気電子工学科を中心として、基礎学力の養成に配慮したカリキュラムの見直しや、電気系の人気回復を目指した取り組みを積極的に進めております。今後も、電気系教室の卒業生の就職に対して、洛友会の会員諸兄の絶大なるご支援をお願い申し上げます。

 

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