会員寄稿(1)
洛友会会報 220号


かごんまにきゃんせ!

川内野 寿博(平4年卒・九州支部)

 会社の異動に伴い、平成17年に鹿児島に来てから、もうすぐ3年になろうとしている。10年以上前にも約2年間鹿児島で勤務した経験があり、これを合わせると鹿児島勤務は約5年で、私の会社生活の中でも2番目に長い愛着のある土地である。
 鹿児島といえば、「桜島」、「焼酎」、「西郷隆盛」のいわゆる「3S」が有名だが、最近では、「スローライフ」、「スローフード」、「スパ(温泉)」、「新幹線」の「4S」を加えた「7S」をテーマに、地域活性化への取り組みや情報発信がなされている。
 そこで、私も鹿児島在住者の一人として、多くの方々に鹿児島に足を運んでいただき、鹿児島が活性化する一助になればと思い、これまでの生活の中で感じた「7S」について、この場を借りて紹介させていただきたい。
 なお、表題を読んで、???と思われた方も多いであろう。「かごんま」は「鹿児島」、「きゃんせ」は「来て下さい」という意味の鹿児島弁である。
 まずは「桜島」であるが、私の住むアパートからも一望でき、その雄大かつ美しい姿は毎日見ても飽きない。特に私が好きなのは、冬にうっすらと雪化粧した姿である。また、薩摩半島側の鹿児島市と大隅半島側の垂水市を結ぶフェリーに乗り、うどんを食べながら眺める桜島も格別である。
 次に「焼酎」といえば、鹿児島は焼酎の本場だけあって、居酒屋で酒と言って注文すれば、焼酎が徳利に入って出てくる。アルコール飲み放題を注文しても、ビールは1杯のみの場合が多いので、注意が必要である。なお、鹿児島の居酒屋では「だれやめセット」なるメニューをよく見かけるが、鹿児島弁で「だれ」=「疲れ」、「やめ」=「止め」で、「疲れを癒す」という意味であり、いわゆる晩酌セットのことである。3M(森伊蔵、魔王、村尾)を始めとした、全国的に有名なプレミア焼酎は、鹿児島県内でも入手しにくいのが実情であるが、通りの片隅にあるような小さな酒店で何気なく置いてある場合もあるので、足繁く酒店に通うのがプレミア焼酎の定価入手の秘訣のようである。
 続いて「西郷隆盛」。ここでは、西郷さんも登場人物の一人である今年のNHK大河ドラマ「篤姫」にちなんだ話題を紹介する。1月に放送が始まった「篤姫」は、全国的にも視聴率が好調なようであるが、篤姫の故郷である鹿児島では、高視聴率を追い風に、観光キャンペーンを行っている。1月には鹿児島市に「篤姫館」、指宿市に「いぶすき篤姫館」がオープンし、予想よりも多い入場者数で賑わっているようだ。私も先日「篤姫館」に行ったが、ドラマの解説や大奥での篤姫の部屋の再現セット(セットに上がり、着物を羽織って記念撮影ができる)などがあり、楽しめた。また、篤姫や天璋院の名を付けた焼酎やお菓子など、関連グッズもいたるところで販売されている。篤姫ゆかりの地を巡るバスコースなどもあるようなので、ドラマファンの方は、ぜひ一度篤姫探訪の旅に足を運んでいただきたい。
 「スローライフ」は、今の生活では残念ながら実感できていないのでパスさせていただき、次に「スローフード」。日本でも有数の畜産業・漁業・農業生産地を有する鹿児島県は、黒豚、黒牛、地鶏、かつお(鰹節、たたき)、きびなご、さつま揚げ、カンパチ、さつまいも、桜島だいこん、黒酢、茶などの食材が豊富で、これらの食材を使った鹿児島ならではの料理は、居酒屋などでも気軽に味わえる。私のお勧めは黒豚しゃぶしゃぶと地鶏のさしみである。
 次に「スパ(温泉)」。温泉といえば、旅館・ホテルの温泉を連想する方が多いと思うが、鹿児島市内は公衆浴場の温泉が多数あり、毎日のように気軽に入れる。また、篤姫が幼少を過ごした指宿市には砂蒸し温泉(隣町の山川町にもある)、霧島市には霧島温泉や、坂本龍馬が日本初の新婚旅行で訪れた塩浸温泉など、鹿児島県内にはいたるところに温泉があるので、温泉ファンが鹿児島で温泉に入りそびれることはまずないだろう。
 そして「7S」の最後は「新幹線」。九州新幹線は、博多駅〜鹿児島中央駅間を最速約1時間20分結ぶ鉄道で、平成16年3月に新八代駅〜鹿児島中央駅間が部分開業し、平成23年に全線開業予定である。ちなみに、鹿児島中央駅は以前は西鹿児島駅と呼ばれており、部分開業に合わせて改名されている。また、駅ビルは「アミュプラザ鹿児島」という複合商業施設に変貌を遂げており、建物上部には「アミュラン」と呼ばれる観覧車が設置されている。この観覧車からの桜島の眺めもいいらしい(残念ながら私はまだ乗ったことがない)。この部分開業により、博多駅〜鹿児島中央駅間の所要時間は、従来の約3時間50分(在来線特急)から、最速2時間12分に短縮された。そのおかげで、従来は宿泊を伴っていた福岡〜鹿児島間の出張は、今や日帰りとなっている(嬉しいやら悲しいやら・・・)。新幹線車両の愛称は「つばめ」で6両編成、全車両とも4列シートとなっており、ゆったり座れる。また、シートを始め、車両の至るところに木が素材として使われており、和風テイストにあふれている。
 最後に、「7S」ではないが、電気系教室同窓会らしく、電気に関わる話題に少し触れる。鹿児島県には、原子力・火力・水力・地熱・内燃力・風力と、九州でも随一の多様な電源がある。特にここ数年の風力発電の導入は目覚しく、NEDOによると、平成19年3月末時点の鹿児島県内の風力発電導入量は、西日本一の86,105kWである。平成20年10月には、定格出力50,400kWの長島風力発電所が運転開始を予定しているなど、導入量はさらに増える見込みである。
 以上、「7S」を中心に鹿児島の紹介をさせていただいたが、世界遺産の屋久島など、鹿児島の見所は他にもたくさんある。また、鹿児島の方の人柄も良い。百聞は一見に如かず、ぜひ一度鹿児島へ足を運んでいただけると幸いである。


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