会員寄稿(1)
洛友会会報 224号


若手勉強会

高畑 博樹(昭62年卒・東京支部)

 普段はニュース番組ぐらいしかテレビを見ないが、日曜日の夜十一時から放送されているTBSの「情熱大陸」は、毎週ほぼ欠かさず見ている。三十分番組にしては長期の密着取材で、その人の生き方、考え方が垣間見えて面白い。今はいろいろな情報がインターネットなどで簡単に手に入るようになっているが、やはり、人は直接会ってみないとわからないと思う。そのような場を提供できる一つの試みとして、東京支部では「若手勉強会」を開催している。
 「若手勉強会」は洛友会の東京支部において、若手会員の生涯研鑽の一助として、また、会員相互の親睦の一助として一昨年からスタートした。この背景には若手会員の洛友会離れがある。と偉そうに書いているが、かくいう私も会費は納入していたものの、それまで一度も支部総会などに出席したことがない隠れ会員であった。
 東京支部を活性化するために、若手会員をターゲットとした活動が何かできないかということで2年ほど前から「若手勉強会」をやろうということになった。ただ、なかなか実現しない中で私が実行役に指名された。そこで、具体的にどうするかについて何度か打合わせを行い条件を設定した。まず、ターゲットとする若手会員は三十歳〜五十歳代のいわゆる働き盛りの年代を想定した。明確な基準は設けず、特に上限については強いて挙げれば支部長以下の世代として、開催案内を支部長の卒業年次以降の会員に限って出すことで、自然と対象者がフィルタリングされるようにした。勉強会の形式としては、洛友会会員又は外部有識者を講師として招いて約一時間程度の講演と、その後に講師を囲んでの懇談(一時間程度)というスタイルとした。開催頻度については、講師の選定や幹事の負担も考え年二回程度とし、開催時間も若手会員が参加できそうな平日午後七時以降に行うことにした。勉強会ではやはり講師が鍵であり、参加者が集まるかどうかも講師次第である。若手会員の方が興味をもち、自分自身に何らかのメリットがあり、話を聞いてみたいと思わないと勉強会に参加して頂けないだろうと考えた。とりあえず、講演内容として先端技術分野(特定の分野に絞らず広く)、自己研鑽や生涯研鑽に役立つもの、各分野の技術動向が把握できビジネスチャンスとなるもの、異業種の交流が図れるものなどが盛り込まれることを想定して、そういった講演をしていただける講師を選定することにした。参加人数についても、多すぎては講師と会員の距離が遠くなり、会場選びも大変であることから、三十人程度を目安にした。
 若手勉強会の骨子は決まったものの、実際に開催となると講師を誰にするかで悩むところである。間宮東京支部長(当時副支部長)の紹介もあり最初は向井千秋 宇宙飛行士にお願いし、快諾頂けた。平成十九年十二月十七日に第一回の若手勉強会を無事開催することができた。三十三名の会員が集まった。向井宇宙飛行士の「仕事場は宇宙 Living and Working in Space」と題した講演テーマで、これまでの宇宙での実験内容や宇宙での体験を基に講演頂いた。特に専門の医学関連について、時折、参加者が電気系出身者であることから電気的にわかるようにユーモアを交え、参加者の興味をひいた。懇談の場でも向井宇宙飛行士を囲んで話の輪が広がり、盛況のうちに第一回の若手勉強会を閉じることができ、幹事としてほっと胸をなでおろすことができた。
 第一回の成功から、勉強会の進め方はある程度固めることができたが、決まらないのが講師である。京都大学出身の著名人をリストアップしたり、第一回の勉強会に参加頂いた会員からのアンケート結果を参考にしながら考えるものの、なかなか候補が絞り切れない。そこで助け舟を出して頂いたのが東京支部役員の方々である。役員会の総意として第二回は夏野剛 慶應義塾大学特別招聘教授ではどうかと提案頂いた。お恥ずかしい話ではあるが、それまで私は夏野教授について全く存じ上げず、元NTTドコモ執行役員で、iモードを立ち上げたメンバーの一人として有名であることをその時に初めて知った次第である。夏野教授も多忙な方で、講師の承諾を得るための打ち合わせ日程も二転三転し、なかなか決まらない。やっと決まった打ち合わせに間宮東京支部長と二人で伺ったところ、初対面ながら、講師についてはあっさりと引き受けていただいた。
 第二回の若手勉強会は三十一名の会員に参加いただき、平成二十年九月二十五日に開催することができた。講演テーマは「IT革命の衝撃Uこれからこそ本格化するIT革命U」で、iモードの誕生の経緯などこれまでの経験と実績を踏まえて、IT革命とは何かを熱く語っていただいた。夏野教授は非常に話術の巧みな方で、話しに説得力があり、成功する人とはこういう方なのだなと妙に感心した。第二回の若手勉強会に引き続き若手幹事会も行われ、その場で第三回の勉強会講師を誰にするか話し合い、全員一致で、たまたま間宮支部長も面識がある瀬名秀明 東北大学特任教授にお願いすることとした。講師がすんなり決まればあとは幹事は日程調整などを行うだけで割と楽である。第三回の勉強会も平成二十一年一月二十七日に開催し、三十四名の会員参加のもと、作家と大学教授という二つの側面から学生との交流やロボット、飛行機に関する話題など多方面の話をしていただき、好評であった。
 このように、これまで三回の若手勉強会が無事開催でき、各勉強会においてほぼ半数が平成卒の会員で占められていることから、当初の目論見である若手会員の参加についてもある程度達成できた。今後も継続して若手勉強会を開催し、その目的であった洛友会会員、特に若手会員の生涯研鑽の一助、また、洛友会会員相互の親睦の一助になればと思う。



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