ご挨拶

会長に選出されて

松本 紘(昭和40年卒)

洛友会は電気系学科卒業生の同窓会ですが、同窓は「同じ師について学んだ友人たち」を意味する漢語です。筑波大学の前身である東京高等師範学校などの卒業生の集い「茗溪(めいけい)会」が発足した明治15年(1882年)当時、すでにこの言葉が用いられていたそうです。日本で最も早く結成された同窓会のひとつですね。これから少し、同窓会にまつわる話をしてみたいと思います。

同窓会の由来

窓は「勉学の場」の意味で、中国の故事「蛍雪の功」に由来しているようです。出典は晉書です。

この故事はご存じの方も多いと思います。昔、晉の国に車胤(しゃいん)、孫康(そんこう)という二人の若者がいた。共に官吏を目指していたが、家が貧しく灯火のための油を買うことができなかった。そこで、車胤は夏には蛍を集めてその光で、孫康は冬には夜の窓辺に雪を積みその雪明りで、共に夜遅くまで書を読み、勉学に励んだ。そして、努力は報われて、立身出世を果たすという逸話です。

昭和世代の方なら卒業式で歌われた「蛍の光、窓の雪」の歌詞もこの故事に由来しています。

同窓会の形態

同窓会にはさまざまな形態があります。例えば、

・系列校を含めて全学の卒業生で構成される「全学同窓会」

・同じ学部・学科の卒業生で構成される「学部・学科同窓会」

・同じ卒業年次・入学年次の者で構成される「年次同窓会」

・出身地や現在の居住地が同じ卒業生で構成される「地域同窓会」

・同じ研究室やゼミに所属した卒業生で構成される「OB・OG会」

・同じ職場や同業種に就職した卒業生で構成される「職域同窓会」

など、同窓会の規模・特徴は多様です。洛友会は「学部・学科同窓会」ですが、「年次同窓会」や「地域同窓会」も内包しています。

また、国立大学と私立大学では同窓会活動の在り方は大きく異なります。私立大学では「全学同窓会」が組織されるケースが多いのに対して、国立大学の同窓会活動は「学部・学科同窓会」を中心に展開されることが多いようです。

この違いは、戦後の新制大学としての国立大学発足の経緯が一因のようです。日本の国立大学の多くは、一府県一大学の実現を図るため、同じ都道府県内の旧制高等学校、旧制専門学校、高等師範学校などの統合により、1949年に新制大学としてスタートしました。この際、各学部の立地が地理的に離れていることや、前身の学部同好会の会員の特性や規模に差異あったことなどが原因で、全学同窓会ではなく学部を中心とした同窓会が組織されることとなったようです。

一方、京都大学などの旧帝国大学は、創設時は単科大学制でした。京都大学の場合は、1897年に京都帝国大学が創設され、同年に京都帝国大学理工科大学、続いて1899年に京都帝国大学法科大学と京都帝国大学医科大学、1906年に京都帝国大学文科大学がそれぞれ設立されました。1919年に学部制に移行するまで、単科大学制が継続した歴史的経緯があるため、「学部・学科同窓会」が主流となったようです。

同窓会への参加

卒業した年から、さっそく洛友会の開催案内が届きます。20代の方の同窓会の出席者は多く、同窓会活動の第一のピークです。それが、30代、40代になりますと、責任ある立場となり、仕事は忙しく、結婚して、子供さんが生まれれば、家庭生活も忙しく、同窓会の出席者は少なくなってしまいます。そして、50代も半ばを過ぎ、仕事からリタイアする時が近づいて来ると、精神的、時間的な余裕も生まれ、同窓会に参加しようかと思われる方も多くなります。50代後半から60代は第2のピークです。

同窓会では、どんな会話が交わされるのでしょうか。やはり、年代によって違いがあるようです。就職して間もない20代は、新しい職場の話題が多いようです。30代からの仕事以外の話題は、学生時代の思い出、結婚、家庭でしょうか。40代になると、子育てや教育の大変さも加わりそうです。50代以降は、自らの今後の人生が話題の中心となっていき、趣味や興味のある分野などの仕事以外の話題が多くなるようです。

いずれにしても、仕事関係の知人との会話よりも、同窓会では、話が弾むことが多いようです。何気ない会話が楽しい理由はどこにあるのでしょうか。ひとつは、思い出、経験などを共有していることがあります。電気系学科という同じ分野に進むことを選択し、同じ学舎に通い、同じ師から学び、同じ学年の方とは学生という本音で話せる立場で、4年間を共に過ごしました。何十年かぶりに再会しても、学生時代の記憶が甦り、新たな友人関係を築けることと思います。もうひとつは、同窓会では学生時代のように、お互いの立場を忖度することなく、気軽に話せることでしょうか。社会人になって、仕事でもプライベートでも、本音で話せる関係はとても貴重です。

また、電気系学科の卒業生の進路は多彩です。エレクトロニクス、情報通信系の企業の技術者をはじめ、最近ではITエンジニア、ほかにも電力、自動車、鉄鋼、鉄道、金融、商社、放送などの企業、官公庁、研究機関、大学など、さまざまな分野で活躍されています。もし、皆さんが経験したことのない新たな分野の業務に取り組むことになれば、その分野で仕事をしている洛友会の同窓生は、心強い相談相手となってくれるでしょう。

同窓生の皆さんへ

電気系学科を卒業された皆さんにとって、洛友会は、時代を超えて、職業を超えて、新たな関係を築ける場であり続けたいと考えております。さまざまな分野で活躍されていらっしゃる皆さんは多忙であられますが、お時間が許せば、是非とも、洛友会にご参加くださいますよう、お願い申し上げます。